先が見えないのが面白い
何になるか分からない、どうなるか分からない、どうやればいいのかも分からない。だから面白い。
先が見えると面白くなくなってしまう理由は、いろいろある。
- 試行錯誤する余地が無くなる
- 実用性を考えてしまう
- 見えてしまった「先」が、あまりに遠い
試行錯誤する余地が無くなって面白くなくなるのは少し違うかもしれないけど、結局のところ、「先」があまりに遠いことが発覚してしまって、モチベーションが保てなくなることが多い。
面白さを求めてやっていること自体に実用性なんて無いことがほとんどで、本当に実用的にするならば、実用化すること自体に力を注がないといけない。でもそこには興味がなかったり、実用化する手段を知らない、ニーズが分からない、技術しか分からないので、実用的なものに仕上げようという目標は、あまりに遠くて非現実になってしまう。しかしモノができた(できそう)な以上、そのモノを活かす方法を考えたくなってしまう。
モノを埋もれさせてしまうのもがっかりだが、それを実用化できない。これだけでやる気を削ぐには十分な理由になる。
技術的にも、見えてしまった「先」があまりに遠いこともある。先が見えてくると、ある機能を実装するために必要な時間を予想できてしまう。1時間や2時間で済むならすぐ作ってしまえばいいが、2ヶ月、3ヶ月とかかるとなると、なかなか手を付けるのに心構えが要る。数ヶ月先のアテのない報酬のためにモチベーションを保てるほど、うまくはできていない。
- 確実に完成できる
- 有限の期間内で完成する
- モノができた暁には確実に何らかの報酬が得られる
単純にこれらすべてを保証できることなどまず無い。そのため、トラブルが発生した場合でも報酬が約束できるように、「契約」を結ぶのは合理的だと思う。完成されたモノを受け取るために、責任とリスクを負う。その際の報酬として金銭を用いるのは非常に分かりやすい。
しかし、そもそも金になるかどうかも分からない場合はどうするか。ただ面白いだけのものを作ることはできないのか。ただ面白いものを作りたい。
それを可能にするのが資本であり、組織、企業ではないかと思う。1人1人が組織の存続のために出資することで、残された時間はただ面白いものを作るだけに使うことができる。あるいは、ただ面白いだけだったモノを、異趣味人が連携することによって、実用的なモノにすることができるかもしれない。
他の業種では分からないが、IT、殊にベンチャーにおいては、技術者にとっての企業の存在意義はそこにあると思う。
給料がいいとか、会社がデカイとか、本社が京都だとか、それ自体にはあまり興味はない。
まぁ、数ヶ月もモチベーションが持たない人にはしばらく関係ない話かな。